【セキュリティ】AntiVirusXP2008

AntiVirusXP2008 | Symantec

セキュリティの話題を追っているひとならピンとくる名前というか。
(たぶん)WinAntiVirusProシリーズの新作が、出回っている、らしい。
WinAntiVirusProについては、Wikipediaでもどうぞ。
wikipedia:WinAntiVirusPro
このシリーズ、ひとことでいえば、「偽セキュリティ対策ソフト」なので、ピンとこなかったひとはご注意あれ。


いやしかし、よくもまぁ、定期的にしっかりアップグレードを続けるなぁ‥‥と感心してもいけないか。
とはいえ、配布元サイトを見てみると、「Top 10 viruses (May 2008)」とか書いてあって、微妙にやる気のなさも感じられる。(配布元サイトを探すのも見るのも、当然、自己責任で)
こうやって、「開発」が継続されているのを見ると、それなりの売り上げがあるってことなんだろう。
つまりは、知識のないひとたちが買っているわけで。
このときに問題なのは、「知識のないひと」が、限りなく「普通のひと」に近いということ。
「普通のひと」のなかには、WindowsUpdateもしない、セキュリティ対策ソフトを入れてもいない(または期限切れのまま使っている)ひとが、少なくない割合でいることは、実感としてあるわけで。
そのひとたちは、「どうせウイルスなんて感染しないから」と考えて対策していないわけじゃなくて、単純になにもわからないから、なにもわからなくてもインターネットには繋がるし、いろんなソフトウェアも使えるから、なにもしていないだけに見える。
こういうひとたちに、大事なことを教えて自力で対策ができるようにさせることと。
なにも知らなくても安全に使える環境を、作ることと。
どちらが、より理想的なのか、より簡単なのか、より真剣に取り組まなくてはならない課題なのか。
いまから先のセキュリティは、そこを考えることから始まるんじゃないかって、ちょっと思っている。
(PCや携帯電話だけじゃなくて、家電なんかの身の回りにあるものがネットに接続する未来を、というのなら、前者はとても選択できないコストになってしまう気がするけれど)


「この、13ページの、『インターネットゾーンの設定やNoScriptを使って安全なブラウジングを』ってところですけど。  これ、除外の方法がちゃんと書かれてないんで、あれが見えないこれができないって騒ぎになるだけだと思うんですよ」

「ちゃんと書いてあるじゃないか、設定方法」

「『ドメインを指定してどうこう』だけじゃ、この本の対象者にはわからないですよ。まず、『ドメイン』がなんなのかわからない」

「じゃあ、欄外にでも、『ドメインとは』くらい書いてやればいいんじゃない?」

「それじゃ足りないですよぅ。ドメインがなにかわかっても、いま自分がいるサイトのドメインがなんなのかわからないかもしれないしぃ、設定が必要なドメインがどれなのかまでわかるとは思えないしぃ、設定をしたときの影響範囲を理系せずにユルユルの設定をしちゃう可能性もありますよぅ?」

「じゃあなんだ、これを読む前に、『ドメインってなに?』って冊子でも読ませるか?」

「そこまで言ってないですけどぉ」

「はいはい、とりあえず、そこまで。いまは意見を出すだけね。解決策は、また次。ほかにどこか、ある?」

「はい。16ページ、『フィッシングに気をつけよう』だけど。ちゃんとSSLを運用しているサイトならたしかにこれでいいんだけど、そうじゃないサイトもいっぱいあるんだし、そういう場合の対処法も書いたほうがよくない?」

「それはそうだけど、これは正しい知識を覚えさせることが目的なんだから」

「いくら正しくても、使い物にならなかったら、見向きもされないわよ」

「そりゃそうだけど、一般的な話ができないと、ここには収まらないぜ?」

「そこはポイントだけを抑えれば」

「いやいや。ポイントを抑えるためには、さっきの話じゃないけど、『HTTPSってなに?』みたいな小冊子でもないと無理だろ」

「ついでに、『よくわかる!DNS』とかもな」

DNSまでいくと、TCP/IPの基礎からやらないと嘘じゃないか?」

「それやっちゃうと、『ユーザー向け』じゃなくなるよ」

「はいはい、じゃあ次にいくぞ」

 ・・・・・

「ってことが、あったんだけどさ」

「活発な意見の交換、いいじゃん」

「やめてよ。結局なにも決まらずに、来週に持ち越しなのよ。あぁウザい」

「産みの苦しみってやつだな」

「あと5年くらいは、味わいたくなかったわ」

「まぁ、結局は、ユーザーをどう見るか、だよな。敵なのか、守る対象なのか、それとも一緒に戦う仲間なのか」

「少なくとも、敵じゃないわね。真の敵は内部にいるってわかったから。まぁ、でも、その例え、覚えておくね。ありがとう」