【音楽】人間が最も聞きたい/聞きたくない曲
http://wiredvision.jp/news/200805/2008052121.html
ということで、WIRED VISIONから。
研究なのかなんなのか動機はよくわからないけど、10年くらい前に「音楽の聴きたい、もしくは聴きたくない要素」のアンケートをとり、その結果として「聴きたくない音を詰め込んだ音楽」と「聴きたい音を詰め込んだ音楽」を作ったひとたちがいる、らしい。
http://www.diacenter.org/km/musiccd.html
それが、なんなのかわからないけれど、最近になって再評価された、というのが記事の内容っぽい。
とりあえず、貼ってみよう。
とりあえず、「聴きたくない」ほうのプレイ時間22分ってのにまず吹いてしまうわけだけど。
聴いてみると、不快なわけでもない。
マジメに聴いていたら少しは嫌になるかもしれないけど、主張しすぎることもなく、適度に変化も楽しめて、作業用BGMとしてはいいかもしれない。
いろんなタイプの音楽がバラバラに雑多に無秩序に詰め込まれていることじたいが不快と言うのなら、「組曲『ニコニコ動画』」シリーズは不快を通り越して地獄のシンフォニーとでも言いたいのか!
と、いうか。
「聴きたい」ほうのを聴いてみても、「聴きたくない」ほうと同じじゃん、と思ってしまうのは、音楽素養がないせいなのか、そもそも文化が違うからか。
ま、好きなものを好きなときに聴くことが、人生の幸せだ。
かすかな、うた、だった。
それは、ベッドに寝転がってマンガを読んでいるカツヤの、鼻歌のようだった。
ぼくはキーボードを叩く手を止め、そちらに目をやる。その視線に気づいたのか、カツヤは歌をやめて、照れ笑いをした。
「悪い、聴こえてたか?」
「なんとなく、聴こえてた。でもたぶん、嫌な歌じゃない」
「そうか。うん、まぁ、いい歌だな」
「ぼくは知らない歌だと思うんだけど、なんて曲?」
「忘れた」
そう言う割には、嬉しそうな顔をしている。どうやら、続く話があるらしい。
「曲名は忘れたけど、小学校のときの担任の先生がいちばん好きだって言ってた歌で、クラスみんなで、たくさん歌ってた」
それがこんなふうに刻まれているんだから、それだけの力がある歌なんだろう。
「先生になったばっかりの女の先生でさ。なにかやらかすたびに、すぐに怒って泣くんだよ。で、重い空気の中で、その先生が教室にあったオルガンでその曲を弾いてさ。オレたちは、それにあわせて歌って。
こうやって言葉にしたら、なんだそれって言いたくなるくらいの出来事だけどさぁ。そのときは単純に、素敵な先生だ素敵な仲間だってすごく幸せな気分になった気がする。いま振り返って思い出して、たぶんこういう気持ちだったんじゃないかな、と思うって程度だけど」
「そりゃ、幸せだよ」
カツヤの、さらりとこういう話が言えるところは、すごく好きだ。照れもせず、内面の幸福を隠そうともせず、嫌らしくない。
「うん、いいなぁ」
そういう幸せは、ぼくにはないものだったから。
ある意味では嫉妬しながら、ぼくは彼に惹かれている。その自覚があるから、だから。
「ね、ちゃんと歌って聴かせてよ」
ぼくは無邪気を装って、カツヤにそうリクエストをした。