【科学】2008年イグノーベル賞

http://www.cnn.co.jp/science/CNN200810030007.html
記事タイトルはちょっと不愉快に感じるひともいるかもしれないけど、研究をやっているひとたちは大マジメ(のはず)なので、眉をひそめる程度で許してあげよう。


そんなわけで、今日の話。
アメリカさんの賞、といえば。
日本でも報道されるラジー賞のような華々しいものから、ステラ賞や[ダーウィン賞]みたいな不謹慎なくらいに皮肉の色が強いものまで、ジョークと本気の境界があいまいなものがたくさんあるけれど。
このイグノーベル賞も、そのひとつ。
日本人も数多く受賞しているので、知っているひとも多いと思う。


それの、最新版が発表されました、と。
いやしかし、「避妊にコーラ」って誰が言い出したのか知らないけど、受賞した研究のうちひとつは1985年のものらしいので、20年以上も前から、世界のあちこちで言われてたんだろうなと思うと、それはそれで感慨深いと言えなくもない気がしないでも、ない。
ほか、思わず笑ってしまったものを、ぺらぺらと。あ、念のために言っておくけど、タイトルから思ったことをタラタラ書き流すだけで、元の論文なんかに当たっているわけでは一切ないので、真偽がどうこうについてはノータッチで。

「高価な偽薬(プラセボ)ほど、安い偽薬よりも効果が高いことを確認」
まぁ、プラセボ効果じたいが思い込みなんだから、その「空想」を具体的な数値で強化できる、というのはわからんでもない。むしろツッコミどころは、「行動経済学教授」かと。

「同じ食べ物でも、名前の聞こえが良い方がおいしく感じることを示した」
聞こえがいいってそもそもなんだ、水伝か、水伝なのか。たしかに、「若鶏のエヒフ」のほうが、「若鶏のグリョーベド」とか言われるよりもおいしそうに食べられそうな気はするけど。

「考古学の発掘現場付近に生息するアルマジロが、発掘品をより深く埋めたり持ち去ったりすることで、発掘現場がメチャクチャになるだけではなく、歴史が変わってしまう可能性があることを示した」
これはヤバい。この一文だけで、果てしなくスケールが大きくもシュールで切ない物語が展開されてしまうくらい、ヤバい。なんだこの、妄想力を激しく想起させるようなキーワードの羅列は。アルマジロがタイムパラドクスを引き起こすって、その想像だけでご飯3杯はいけるね。


いやぁ。
いやいやしかし、いい意味でも悪い意味でも後世に名を残すような研究には、常人には手が届かない発想と、自分の道を信じる者だけが生み出せるエネルギーが必要なわけで。
それを完成させられるってだけでも、すごい才能なんだよね、きっと。

「タイトルやアブストなんてのはな」

 論文集を棚に戻しながら、風間は言った。

「言いたいことだけを言ってるんだから、すごいことが書いてあるように思えるんだよ」

 隣の棚から別の本を取り出し、言葉を選んで続ける。

「なにを選ぶのかは知らんが、掲載された論文誌の格は、重要な指標になる。部外者なら細かい格付けなんてわからない、って問題もあるけどな」

 本を持って自分の椅子に座り、足を組んでこちらを見る。

「対外的な評価が固まるまで待て、と言いたいところだが、そんな余裕はないらしい。ひとつ、わかりやすい目安を教えてやるよ。ただし、ほんとうにただの目安のひとつだから、あまり間に受けるんじゃないぞ?」

 そこでにやりと笑って、こう続ける。

「具体的に何ができるのか書いてあるものは、それがより具体的なほど、できることの数が多いほど、怪しむべき割合は、高くなる。なんてな」