【ニュース】子供のカード無断使用、親に支払い責任なし

ローカルニュースのほうが、ネタにはしやすいよねぇ。
カード無断使用で親に代金要求 信販会社の請求棄却

えぇと、新聞社サイトの記事ってそのうち消えそうなので、事実っぽい部分を引用。

長男は二〇〇五年一月から一カ月間、インターネット上で同社の加盟店が運営する有料アダルトサイトを複数回閲覧。男性のクレジットカードに記載されたカード識別情報(名義人名、カード番号、有効期限)を無断でメモに控え、入力する方法で決済を繰り返した。

竹村裁判官は(中略)「本人確認を求めない決済システムは基本的な安全性の確保が不十分と言わざるを得ない」として請求を退けた。

ということらしいので、驚くような判決、ってほどでもない。
ないんだけど、これがニュースになるって意味を考えると、ちょっと興味深いかもしれない。
ここで争われたサイトもそうだけど、ネットでカード決済をするときに暗証番号まで求められるサイトってのは、そんなに多くなさそうな気がする。
パソコンを買ったときも、飛行機のチケットを予約したときも、カード番号と期限だけでどうにかなった、ような。
見てすぐわかる情報だけで決済が完了するってのは、システムとして、そりゃ緩い。
んで、そんな緩いシステムなら、他にも同じように家族に見られて‥‥な事件が起こっていて当然。
でも、ニュースでは、あまり見ない。


いやまぁ、今回のこれは、それなりの額(285万円)だからってのが、裁判にまでなったいちばんの理由だろうけど。
常識的な額なら、勉強代で払っておしまい、だろうし。
とはいえ、このお父さん。
この裁判に勝ちはしたけど、次は息子さんに請求が飛んできて、結局払うハメになりました、とかならなければいいけど、本当に。


 その携帯電話サイトには、噂があった。

 ゲームと日記、ミニメールを提供する、少しだけ名が知られ始めたサイト。

 その中でリンクをたどっていくと、極々低確率で、とあるページに行き当たる。

 そこには神社を単純化したような、「賽銭箱とその奥でうっすら開きかけたような本殿の扉」に見える絵と、下のほうに「賽銭を入れる」というボタンだけがある。

 そのボタンを押すと、サイトの正式な手続きに従って、5円を払う画面が表示される。

 そして「お賽銭」を払うと、元の神社の絵に戻る。

 でも、さっきとなにかが違うような気がする。そういえば、さっきよりも少しだけ、扉の隙間が広く開いているような‥‥

 と、それだけの、噂。

 実際に見た、と説得力のある話をできる人間はいつまでも現れなかったが、噂は静かに広がっていった。

 サイト内でのコミュニティでも幾度かその話題が出たが、新しい話の展開がないまま自然に消滅していった。

 サイトの管理会社に直接質問をしてみたが、黙殺されただけだった、という日記を書くものも若干いたが、それだけだった。

 しかしそれでも噂だけは、進行していく。

 扉の中の様子が少しだけ見えてきている、中で誰かがこちらを見ている、くすんだ色だった賽銭箱が鮮やかな色になっている、絵の上のほうから何か書かれた紙が現れだした‥‥

 噂は膨らんでいく。噂を聞いたことだけがある人間は増えていく。管理会社は沈黙を守る。

 いま、あなたの携帯電話の画面には、神社の本殿にあるような扉が、もう少しで中の様子が見えるくらいに口を開けている絵が表示されている。

 そしてその手前には、賽銭箱ではなく、文字が書かれた紙のようなものが見えている。
 目を凝らしてみると、その文字はこう読めた。

「お賽銭、入れますか? 一回千円から、機会は一度だけ」